一見無能が実は最強、小説サイトの定番と云えば定番。
けれどこの作品の主人公アルノルトはとにかく健気。
自分が平穏に暮らすために情勢の変わった皇位継承争いに優秀な双子の弟レオナルトを投入し(とは云えレオナルトも納得ずく)アルノルトは隠した鷲の爪を裏から振るい、また別の身分も使い策謀を巡らせる。
はじめは身近な家族を守るためだった皇位継承闘争もだんだん関わる者、守るべき者が増えていき、それは時には枷ともなるが守り切るべく力を振り絞る。
その中には秘密を共有するフィーネ、幼なじみのエルナなどストーリー分岐型ゲームを思わせる多様なヒロインたちが出てきてその面でも魅力的。
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い~帝位に興味ないですが、死ぬのは嫌なので弟を皇帝にしようと思います~
小説家になろうでは完結していて、本筋の皇位継承もヒロインとの行く末もとても欲張りで、けれども納得のいくエンディングを迎えている。
何より争った兄弟のバックグラウンドが明らかになっていくと単なる引き立て役キャラではないのだな、と見る目が変わる。
世界観やストーリーが場当たり的でなく、ここに帰結するために書いているのだなと思えて最後の方はしみじみ読んでいた。
コミカライズもアルノルトの軽さ感やヒロインたちの魅力を引き出していて原作完結の所まで漫画で読みたい……! と思う。
なお個人的にはリンフィアさんがステキだと思うのです。
アニメ化の発表からずいぶん静かなので気になっている。
アルノルト、レオナルト兄弟は福山潤、櫻井孝宏か松岡禎丞、島﨑信長みたいな、他の作品の影響の強い脳内当て役で読んでいるので誰が起用されるか気になっている。
なろうだから、俺TUEEEだから、と避けるのはもったいないと思うので是非読んでみてほしい(なおWeb発作品のファンは皆そう云う)。